― 経験の中にある、自分なりの力

あっという間の一週間でした。
このところ、研修のテキスト作成が続いています。
安全教育、キャリアデザイン、そして人材育成。
テーマだけを見ると、それぞれ違う研修です。
安全教育では、現場に潜む危険に気づき、事故を防ぐために何ができるのかを考える。
キャリアデザインでは、これまでの経験を振り返り、これからの働き方や役割について考える。
人材育成では、一人ひとりの力をどう引き出し、成長を支えていくのかを考える。
扱う内容も、参加される方も違います。
それでも、研修を重ねる中で、
「どこかでつながっているな。」
と感じることがあります。
私自身、これまでいくつかの仕事や役割を経験してきました。
研究や技術の仕事では、
よく観察し、
「なぜ、こうなったのだろう。」
と原因を考えることを繰り返してきました。
人を育てる立場になってからは、
同じように伝えても、人によって受け取り方が違うことを知り、
相手を見ながら関わり方を考えるようになりました。
そして今、人のキャリアや成長に関わる中では、
その人が歩いてきた経験に耳を傾け、
そこにあるものを一緒に見つけていくことを大切にしています。
振り返ってみると、
それぞれの経験から得たものが、
今の仕事の中にも生きています。
たとえば、安全教育で大切にしている「よく見ること」。
これは、危険を見つけるときだけに必要なものではありません。
人材育成でも、
相手のちょっとした変化に気づくことが、
関わり方を考えるきっかけになります。
キャリアを考えるときも、
これまでの自分を丁寧に見つめることで、
今まで気づかなかった経験の意味が見えてくることがあります。
「見る」という一つのことも、
場所が変われば、違う形で活かされていく。
今週、異なるテーマの研修に向き合いながら、
そんなことを改めて感じています。
私たちは、ときどき、
「自分には何ができるだろう。」と考えます。
資格。
知識。
専門性。
これまで担当してきた仕事。
もちろん、どれも大切です。
でも、「できること」だけで自分を見ていると、
これまでの経験の中にある大切なものを、
見落としてしまうことがあるのかもしれません。
人の話を丁寧に聴くこと。
周囲の変化に気づくこと。
困ったときに別の方法を考えること。
人と人との間をつなぐこと。
最後まで粘り強く取り組むこと。
自分では、「特別なことではない。」と思っていることもあります。
でも、場所や役割が変わると、
それが誰かの役に立つ力になることがあります。
前回のコラムでは、
「経験は、振り返って初めて自分の力になる」
ということについて書きました。
振り返ることで見えてきたものを、
今度は、「これから、どこで活かせるだろう。」と考えてみる。
そうすると、
過去の経験が、
これからの可能性へと少しずつつながっていきます。
今週は研修が続きます。
安全教育。
キャリアデザイン、人材育成。
一見すると違うテーマですが、
その根っこにあるのは、
人を見つめ、その人が持っている力を活かしていくこと。
なのかもしれません。
私自身も、
これまで歩いてきた中で得たものを、
目の前の人や現場に合わせながら、
これからも活かしていきたいと思います。
ときには、
すでに自分の中にあるものに目を向けてみる。
そして、その力は、
自分一人では、なかなか気づけないこともあります。
誰かに頼られたこと。
「ありがとう」と言われたこと。
何気なく続けてきたことを、
誰かが認めてくれたこと。
そんな人との関わりの中で、
「これも、自分の力だったのか。」
と気づくことがあります。
自分にとっての「当たり前」が、
誰かにとっては、価値のあることなのかもしれません。
自分では気づきにくい力を、
私たちはどのように見つけていけばよいのでしょうか。
次回
「自分の力は、一人では見つけにくい」
― 人との関わりが、自分の可能性を教えてくれる
について、
人との関わりの中で見えてくる「自分の力」に目を向けながら、
少し立ち止まって考えてみたいと思います。