― 任せることで、人の力が活き始める

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「人に頼むくらいなら、自分でやったほうが早い。」
かつての私も、そんなふうに考えていた時期がありました。
任された仕事は、自分の責任でやり遂げる。
人に頼ることは、どこか申し訳なく、時には恥ずかしいことのようにも感じていました。
今振り返ると、責任感というよりも、何でも自分でやろうとする思いが強かったのかもしれません。
頼ることへの思い込み
研究や技術の仕事に携わり、その後、管理職として人を育てる立場になりました。
仕事が増え、責任も大きくなる中で、自分で抱え込んでしまうこともありました。
「自分が頑張れば何とかなる。」
そう思って取り組んでいても、一人でできることには限りがあります。
時間に追われ、目の前の仕事をこなすことで精いっぱいになる。
そんな経験を重ねる中で、少しずつ考え方が変わっていきました。
頼ることは、自分の力が足りないことではない。
むしろ、人の力を活かすために必要なことなのではないか、と。
頼ることで、力は何倍にもなる
人には、それぞれ得意なことがあります。
自分が時間をかけて考えていたことも、別の人の視点が加わることで、思いがけない方法が見つかる。
一人では進まなかった仕事が、誰かの力を借りることで動き始める。
私自身、そんな経験をしてきました。
頼ることへの抵抗が薄れてからは、仕事の進め方も変わりました。
すべてを自分で抱えるのではなく、周囲の知恵や経験を借りる。
すると、時間にも少しずつ余裕が生まれ、本来、自分が向き合うべき仕事に時間を使えるようになりました。
一人の力を足し合わせるだけではなく、互いの力が重なることで、何倍もの力になる。
それが、人と仕事をする面白さなのだと感じています。
任せることは、相手を信じること
管理職として部下と関わる中で、もう一つ気づいたことがあります。
それは、任せることが、人の成長につながるということです。
自分でやってしまえば、早く終わるかもしれません。
でも、それでは相手が経験する機会を失ってしまうこともあります。
もちろん、ただ仕事を渡せばよいわけではありません。
相手の状況を確かめ、必要なことを伝え、困ったときには相談できる関係をつくる。
そして、相手なりのやり方を見守る。
任せることは、仕事を手放すことではなく、相手の力を信じて関わること。
そんなふうに考えるようになりました。
一人で頑張ることから、頼り合える関係へ
前回は、「自分の力は、誰かとの間で活きていく」ということについて書きました。
それぞれの力を持ち寄るためには、自分の力を差し出すだけでなく、誰かの力を借りることも大切です。
「少し相談してもいいですか。」
「ここをお願いできますか。」
そんな一言が、相手の力を活かすきっかけになることがあります。
以前の私は、頼ることを恥ずかしいと感じていました。
けれど、その思いが薄れてから、人との関わり方も、時間の使い方も変わってきたように思います。
頼ることは、弱さではありません。
人の力を信じ、自分の可能性も広げていくこと。
今、何でも自分で抱えていることはないでしょうか。
その中に、誰かと一緒に取り組めることはないでしょうか。
少し立ち止まって考えてみると、これまでとは違う仕事の進め方が見えてくるかもしれません。
そして、頼り合える関係をつくるには、もう一つ大切なことがあります。
それは、相手が安心して「できません」「助けてください」と言えること。
頼ることを受け止めてもらえる職場には、どのような関わりがあるのでしょうか。
次回は、
「助けてと言える職場には、何があるのか」
― 安心して頼り合える関係を考える
について、少し立ち止まって考えてみたいと思います。
次回もお楽しみに。