― 他者軸で動く苦しさ

七月に入りました。
新年度や新しい環境が始まって、
あっという間に三か月ほどが過ぎました。
少しずつ仕事にも慣れ、周りから頼られる場面も増えてくる頃です。
一方で、
「ちゃんと期待に応えられているだろうか。」「迷惑をかけていないだろうか。」
そんな思いを抱え始める時期でもあります。
学生とのキャリア支援でも、企業での研修や面談でも、
この時期になると、
少し表情が変わる方がいます。
四月には希望や期待を話していた人が、
「周りに合わせること」で精一杯になっている。
そんな姿に出会うことがあります。
もちろん、
周囲を思いやることは大切です。
期待に応えようと努力することも、社会人として必要な姿勢でしょう。
けれど、
その気持ちが強くなり過ぎると、
少しずつ、
「自分はどうしたいのか」という声が聞こえなくなっていきます。
いつの間にか、
「相手が望んでいること」が判断基準になり、
「自分が大切にしたいこと」は後回しになってしまう。
すると、
頑張っているのに満たされない。
評価されても喜べない。
そんな状態になることがあります。
企業でも教育の現場でも、メンタル不調の背景をたどると、能力不足ではなく、
「期待に応え続けようとした結果」という場面に出会うことがあります。
他者を大切にすることと、
自分を見失うことは、
似ているようで違います。
だからこそ、
時には立ち止まり、
「今の自分は、何を大切にしたいのだろう。」
そんな問いを自分に向ける時間も必要なのかもしれません。
人は、
誰かの期待だけでは、長く走り続けることはできません。
自分自身が納得できる理由を持てたとき、
人は穏やかに、そして力強く前へ進み始めます。
期待に応えることも大切。
でも、
自分の声を置き去りにしないことは、
もっと大切なのかもしれません。
次回
「頑張っているのに報われない」と感じるとき
― 評価と納得のズレ
について、
現場での対話を交えながら、少し立ち止まって見ていきたいと思います。